老後のお金の不安。その正体の多くは、「全体で、いくらあるのか」が見えていないことだと思います。漠然としているから、怖い。逆に、数字ではっきり見えてしまえば、不安の多くは、すっと消えます。
私は、家計管理アプリ「マネーフォワードME」で、自分の資産を“見える化”しています。ただし、正直に言うと、完璧にはやっていません。几帳面なわりに、けっこう、いいかげんです。今日は、その等身大のやり方を、お話しします。
何を、どう見ているか
マネーフォワードMEには、銀行・証券・クレジットカードを連携しています。すると、あちこちに散らばったお金が、アプリの中で自動的に合算され、資産の全体像が、金額でひと目でわかります。いちいち各社のサイトにログインして回る必要が、ありません。
私は有料版を、1年更新で使っています。実は一度、「年5,300円、解約しようか」と考えたこともありました(その話はサブスクの記事に書きました)。でも、やっぱり便利で。結局、次の更新(2026年12月)までは、使い続けることにしました。
ちなみに、収入がなくなった今、アプリは毎月律儀に「今月も赤字です」と教えてくれます。でも、それは百も承知。年金までの数年間は、貯金と配当で暮らすと、はじめから決めていますから。その報告は、あまり気にしていません。
いちばんのコツは「株と生活を、分けて見る」
ここが、今日いちばんお伝えしたい工夫です。
マネーフォワードMEには、資産を「グループ」に分けて表示する機能があります。私は、2つのグループを作っています。
- 資産グループ……株式もふくめた、全体の資産
- 生活グループ……株式を除いた、預金や生活まわりのお金
そして、ふだんは「生活グループ」のほうを表示しています。なぜか。株式をふくめた資産全体で見ると、相場の値動きで金額が大きく上下して、肝心の“毎月の家計”が、その波に埋もれてしまうからです。
株が数十万円動いた、その隣で、今月の食費が数千円増えた——同じ画面に並ぶと、家計の小さな変化は、まったく見えなくなります。だから、生活のお金は、生活のお金だけで見る。資産全体は、見たいときにグループを切り替えて見る。この“分けて見る”だけで、家計がぐっと見やすくなりました。
▲「資産グループ」(株式もふくむ全体)と「生活グループ」(株式を除く)。同じアプリでも、表示するグループを切り替えるだけで、これだけ見え方が変わります。(総資産の金額は伏せています。)
完璧は、目指さない
正直な告白を一つ。私は、どちらかといえば几帳面で、数字が合わないと気が済まない性格です。ところが、この見える化では、その性格が、かえって自分を苦しめました。
やっかいなのが、現金での支払いです。カードなら自動で記録されますが、現金は自分で入力しないと残りません。その入力を忘れると、あとから「あの数百円は、何に使ったんだ?」と、思い出すのに一苦労。どうしても思い出せず、仕方なく「不明金」として入力したことも、何度もあります。
でも、あるとき気づきました。1円単位まで完璧に合わせる必要は、ないのだと。老後資金の見える化で大事なのは、細かい正確さより、「全体でいくらあるか」という大づかみの規模感です。神経質になると、続きません。ざっくり掴めていれば、それで十分なのです。
本当は、まだ“宿題”が残っています
もう一つ、正直に。本来やるべきことが、まだできていません。
お金の管理の“正解”は、毎月の固定費・変動費に加えて、税金や車の費用といった不定期の出費まで洗い出した、詳細な家計管理表を作ることだと、私もわかっています。でも、今はそこまでやっていません。配当と貯金があり、数年後には年金も入ってくる。だから当面は、大枠さえ見えていれば回る——そう思って、後回しにしているのが実情です。
正直に言えば、もう一つ、腰が重い理由があります。60歳を過ぎて、これから先、お金のかかる大きな人生のイベントが、そう多くは残っていない——そう思うと、細かく計画を立てる意欲が、どこかで薄れてしまうのです。
でも、詳細な管理表を作る意味は、じつは、そこにこそあると思っています。必要な費用をぜんぶ使っても、なお残ってしまう資産が、はっきり見えるからです。それは言いかえれば、「死ぬまでに、使ってしまっていいお金」ということ。
『DIE WITH ZERO』——お金は貯めて残すより、使い切って死のう、という考え方の本があります。これを読んだ影響もあって、私はいま、こう思っています。元気なうちに、なるべく使い切りたい。できれば、半分以上は。そのためにも、まず“いくら使っていいのか”を、見える化しておきたい。だから——今年中には、ちゃんと家計管理表を作るつもりです。(できたら、また記事でご報告します。)
▼ 気になった方はこちら → DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール(ビル・パーキンス 著)
[Amazonアソシエイト・広告]
毎日見ます。でも、やることは変えません
最後に。私は、資産の状況をほぼ毎日、見ています。正直、毎日見る実利は、あまりありません。それでも見るのは、相場の“温度感”を、体で掴んでおきたいからです。
ただし——ここが大事なのですが——日経平均が暴騰しようが、暴落しようが、私がやることは、何も変わりません。見て、「へえ、今日は下げたな」と思う。それだけ。慌てて売ったり、浮かれて買い増したりは、しません。年金の記事にも書きましたが、大事なのは、値動きという“感情”に、判断をゆだねないこと(その話はこちらの記事に書いています)。
見える化は、お金を“監視”するためではなく、“安心”するためのもの。毎日見て、そして、いつも通りに過ごす。それでいいのだと思っています。
まとめ:数字が見えれば、不安は小さくなる
私の、老後資金の見える化のコツを、まとめます。
- ツールに任せて、大枠を掴む(銀行・証券・カードを連携するだけ)
- 株と生活を、分けて見る(相場の波に、家計を埋もれさせない)
- 完璧を目指さない(1円まで合わせなくていい。規模感が掴めれば十分)
漠然としたお金の不安は、「見えない」ことから生まれます。だからまず、見えるようにする。数字ではっきり見えれば、不安の多くは、規模のわかる“課題”に変わります。そこからは、落ち着いて考えればいい。
(※資産運用に「絶対」はありません。相場は上下します。ここに書いたのは、あくまで私のやり方です。)
今日が人生で一番若い日です。ぜひ、今日から一歩踏み出しましょう。


コメント