新NISAの制度を説明した記事は、もう十分すぎるほどあります。私が書けることがあるとすれば、「実際にどう埋めているか」だけです。
2024年の制度開始から3年。私も、生涯1,800万円の枠を少しずつ埋めているところです。何を、どちらの枠で買ってきたのか。失敗も含めて、正直にお話しします。
まず、枠の全体像だけ
細かい制度の話は省きます。これだけ頭に入っていれば十分です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| つみたて投資枠 | 年120万円まで |
| 成長投資枠 | 年240万円まで |
| 年間の合計 | 年360万円まで |
| 生涯の非課税枠 | 1,800万円 |
| うち成長投資枠で使えるのは | 1,200万円まで |
| 非課税の期間 | 無期限 |
最後の2行が大事です。生涯1,800万円のうち、成長投資枠として使えるのは1,200万円まで。残りの600万円は、つみたて投資枠でしか埋められません。ここを見落としている記事が、意外と多いのです。
私の新NISAは、こうなっています
とてもシンプルです。
| 枠 | 買っているもの | 私の使い方 |
|---|---|---|
| つみたて投資枠 | オルカン(全世界株式) | 満額にはしていない |
| 成長投資枠 | 高配当株(個別株に分散) | こちらを厚めに |
枠によって、買うものを完全に分けています。これには、はっきりした理由があります。
なぜ高配当株を「成長投資枠」に置くのか
理由は一つ。配当金にかかる税金が、まるごとゼロになるからです。
ふつうの口座(特定口座)で配当金を受け取ると、20.315%が引かれます。10万円の配当なら、手元に残るのは約7万9千円。約2万円が税金です。
新NISAの枠で買った株なら、この2万円が引かれません。10万円が、10万円のまま入ってきます。
私は配当金を「使っていいお金」と決めていて、旅行や寿司に使っています。同じ寿司を食べるなら、税金を引かれていないほうがいい。単純な話です。
一方、オルカンは配当を出さずに再投資するタイプなので、この恩恵がありません。だから、税金の効きが大きい高配当株のほうを、金額の大きい成長投資枠(年240万円)に回しています。
私が、払わなくていい税金を払った話
ここで、私の失敗を一つ。
配当金の受け取り方には、証券口座で受け取る方式のほか、郵便局で受け取る方式、指定した銀行口座で受け取る方式があります。
私は一度、銀行口座で受け取る方式に変えてみました。銀行に振り込まれれば、通帳ですぐ確認できて便利だと思ったからです。
失敗でした。
しっかり税金が引かれていました。NISAの枠で買った株なのに、です。
非課税になるのは、証券口座で受け取る「株式数比例配分方式」だけです。すぐに元に戻しました。引かれたのは2銘柄の配当分だけだったので、勉強代で済みました。
設定は証券会社の画面で確認できます。一度見ておいてください。私のように、払わなくていい税金を払うことになります。
つみたて投資枠は、あえて満額にしていません
つみたて投資枠は年120万円、月にすると10万円まで使えます。私は、満額までは積み立てていません。
理由は、時間です。
これまでの株式市場を振り返ると、15年以上持ち続けた場合、株価が上がっている確率は非常に高くなります。逆に言えば、それだけの時間が必要だということです。
私は60代です。もし今から10年、下がり続けたらどうなるか。取り戻す時間が、あまり残っていません。
若い方なら、下がっている間も買い続けて、回復を待てます。時間が味方です。60代の私には、その余裕が同じようにはありません。
満額にしないのは、慎重だからではありません。残された時間から逆算した結果です。
成長投資枠は「数銘柄でいっぱい」になります
成長投資枠は年240万円。多いように聞こえますが、個別株を買うと、あっという間に埋まります。
日本の株は100株単位で買うのが基本です。株価2,000円の会社なら、1回20万円。10銘柄買えば、それで200万円です。
銘柄を分散させようとすると、枠はすぐに足りなくなります。私も毎年、そう感じています。
枠に入りきらない分は、特定口座で買っています。税金は引かれますが、それでも分散を優先しています。
もう一つの上限を、忘れないでください
生涯1,800万円という数字ばかりが有名ですが、冒頭の表のとおり、そのうち成長投資枠として使えるのは1,200万円までです。
そして、成長投資枠を厚めに使っていくと、5年ほどで成長投資枠のほうが先に終わります。そのあとは、つみたて投資枠だけで埋めていくことになります。
焦りはありません。枠が終わったら、特定口座で買うだけのことです。非課税は嬉しいおまけであって、目的ではありません。
口座はSBI証券ひとつです
新NISAの口座は、1人1つの証券会社にしか作れません。
私は楽天証券にも口座を持っていますが、買うのは全部SBI証券です。E*TRADE証券と呼ばれていた頃から、20年使っています。
理由は正直に言うと、株式を移すのが面倒だから。それだけです。
これから口座を作る方には、SBI証券か楽天証券をおすすめします。どちらも投資に必要な機能とサービスが揃っていて、多くの投資家にとって使いやすい環境が整っています。
ただし、高配当株を買うつもりなら、SBI証券のほうがいいです。楽天証券では取り扱っていない銘柄があるためです。
もう一つ。ネット銀行と証券口座をつないでおくと、ぐっと使いやすくなります。
- 楽天銀行 + 楽天証券
- dNEOBANK(旧・住信SBIネット銀行) + SBI証券
家計簿アプリのマネーフォワードMEとつないでおくのもおすすめです。口座がいくつかに分かれていても、資産の全体像が一画面で見えます。
60代の方へ:急がなくていい理由
退職金がまとまって入ると、「早く枠を埋めなければ」と思いがちです。
私は3年かけて、少しずつ入れてきました。
正直に言うと、私自身は今、翌月に3割減っても平気です。20年やってきて、そうなりました。
ですが、それは20年かかったということでもあります。始めたばかりの方が、同じでいられるとは思いません。
1,800万円の枠は逃げません。5年かけても、10年かけても、枠の総額は減りません。慣れないうちは、分けて入れるほうが続きます。
そして、下がっても売らないこと。これだけは、20年やってきて言えます。
まとめ
- つみたて投資枠にオルカン、成長投資枠に高配当株。配当の税金20.315%がゼロになるので、高配当株こそ非課税の枠に置く
- 配当の受け取り方は「株式数比例配分方式」に。ここが違うと、NISAでも税金が引かれます(私は実際に引かれました)
- つみたて投資枠は満額にしなくていい。60代に必要なのは、残された時間からの逆算
- 成長投資枠は1,200万円が上限。個別株なら数銘柄で年間の枠は埋まる
- 高配当株を買うならSBI証券。楽天証券では扱っていない銘柄がある
特別なことは何もしていません。毎月オルカンを買って、年に何銘柄か高配当株を買い足して、あとは放っておくだけです。
配当金は、寿司に使っています。
今日が人生で一番若い日です。ぜひ、今日から一歩踏み出しましょう。
免責事項
本記事は筆者個人の体験・見解に基づくものであり、投資・税務・法律等に関する専門的なアドバイスではありません。実際の投資判断や税務・法律上の手続きについては、専門家(税理士・ファイナンシャルプランナー・弁護士等)にご相談ください。

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