その夜、私はスマホで自分のブログを読んでいました。
「パソコンではきれいに見えるけど、スマホだとどう表示されるのかな」——ただ、それを確かめたかっただけです。
指でスクロールしながら、自分の書いた記事を、上から順に読んでいきました。そして、途中で手が止まりました。
「なんだこの記事。全部、どこかで見たことあるな」
ググれば出てくる内容ばかりでした。面白くない。私なら、この記事を読まない。
30記事を超えた頃のことです。書いた本人が、読者として読んで、そう思ってしまった。
今日は、その話をします。AIと一緒にブログを作って、失敗した話です。
2026年3月26日、私はAIとブログを始めた
日付まで覚えています。2026年3月26日。
IT業界に41年いた私は、新しい技術には人一倍アンテナを張ってきたつもりです。だから、AIでブログが書けると知ったとき、迷わず飛びつきました。
最初は、ただのチャットからでした。
「ブログを書きたいんだけど」と相談する。記事の内容も、WordPressでの書き方も、全部AIに聞く。私が具体的な材料を出して、AIが全体を整理して文章にしてくれる。
指示して、書いてもらう。読んで、直してもらう。それを何度か繰り返すと、1本の記事ができあがりました。
驚くほど速かったです。1本、また1本と、記事が積み上がっていきました。
うまくいっていると思っていました。あの夜までは。
AIが書いた記事が、なぜつまらなかったのか
スマホで読んで気づいたあと、私は考えました。なぜ、こんなにつまらないのか。
答えは、単純でした。
AIは、平均を書くからです。
AIは、インターネット中の文章を学んでいます。だから「50代のNISA」と頼めば、世の中の平均的な「50代のNISA記事」が出てきます。よくできています。破綻もしていません。
でも、それは、すでにどこかにある記事です。
そしてもうひとつ、決定的なことがあります。
AIは、体験を持っていません。
新幹線の待ち時間に駅の本屋で株の本を立ち読みしたことも、深夜にアメリカの雇用統計を待ってパソコンの前にいたことも、妻のカードが不正利用されて10日間かかったことも、AIは知りません。私しか知りません。
私が書かせていたのは、私が書く意味のない記事でした。
役割を、逆にしました
そこから、やり方を変えました。
前は、私が「テーマ」を渡して、AIが「記事」を書いていました。
今は、AIが私に「質問」して、私が「体験」を答えます。そのうえで、AIが構成を組み立てる。
たとえば、こんな具合です。AIが聞いてきます。
「そのiPhoneケース、いくらでしたか? 返品はできましたか?」
私が答えます。
「4,388円。即日返品したけど、開封済みだったから2,193円しか戻ってこなかった」
すると記事は、こうなります。「ネット通販ではサイズ確認が大切です」ではなく、「4,388円のケースが2,193円になって返ってきた」に。
同じ教訓でも、まるで違います。後者は、私にしか書けません。
私が決めた書き直しのルールは、たった4つです。
- 一般論を削る(ググれば出てくることは書かない)
- 体験を主語にする(「〜すべきです」ではなく「私はこうした」)
- 数字と固有名詞を入れる(「安かった」ではなく「月2,380円」)
- 失敗談を隠さない(成功談より、失敗のほうが読まれる)
この4つで、10本以上の記事を書き直しました。書き直した記事のほうが、明らかに読まれています。
AIの弱点は「時間」でした
41年IT業界にいた人間として、正直に書いておきます。
AIはとても優秀です。長い相談も正確に理解しますし、こちらの意図もよく汲みます。ただ、ひとつだけ、はっきりした弱点があります。
時間の感覚が、おかしいのです。特に、日付をよく間違えます。
つい今朝も、こんなことがありました。
私は、note(別のサービス)に週1本のペースで投稿しています。それをAIも知っています。そのAIが、今朝こう言ってきました。
「note第4号を書きましょう。前回から1週間経っていて、週1ペースが崩れないうちに出すのがおすすめです」
前回は、昨日です。
私が「昨日書いたばかりだよ。それだと毎日投稿になる」と指摘すると、AIはすぐに間違いを認めて謝りました。素直です。でも、同じ間違いを何度も繰り返します。
だから私は、AIの言うことを鵜呑みにしません。特に、日付と数字は必ず自分で確認します。
優秀なアシスタントですが、万能ではない。この距離感が、ちょうどいいと思っています。
使用量の上限は「ちょうどよい休憩」
Claudeには使用量の上限があり、使い続けると一時的に止まります。
止まると、以前は「うっ」と思ったものですが、今はこう考えています。
「ちょうどよい休憩だな」
私は60代です。根を詰めても、いいことはありません。止まったら、お茶を飲む。散歩に出る。しばらくすれば、また使えるようになります。
料金は、月22ドル(Proプラン。以前は20ドルでしたが、消費税分が加わりました)。日本円で3,000円ちょっとです。
これだけのアシスタントを、月3,000円で雇えている。私は安いと思っています。
同級生には「ちんぷんかんぷん」と言われます
同級生のグループLINEで、AIでアプリを作っている話をしたことがあります。
返ってきた反応は、ひと言でした。
「ちんぷんかんぷん」
正直に言えば、私自身、使いこなしているとは全く思っていません。
私のやり方は、いつも同じです。まず、やってみる。そして、失敗しながら覚える。
このブログだって、30記事書いて、つまらないことに気づいて、書き直しているところです。回り道です。でも、あの夜スマホを見ていなければ、今も平均的な記事を量産していました。
失敗して初めて、わかったんです。
なお、「そもそもAIって何?どう使い分けるの?」という方は、先にこちらの入門記事をご覧ください。私が使っている3つのAI(チャッピー・パプちゃん・クロコちゃん)の使い分けを書いています。
まとめ
AIとブログを作って、私が学んだことです。
- AIは平均を書く。だから、AIに丸投げした記事は「どこかで見た記事」になります
- AIは体験を持っていない。あなたの失敗も、金額も、あの日の悔しさも、AIは知りません。そこだけが、あなたにしか書けない部分です
- AIは日付を間違えます。優秀ですが万能ではありません。数字と日付は自分で確認を
- 月22ドルのアシスタントとしては、破格だと思っています
AIに書かせるのではなく、AIに書かせる材料を、自分が持っているか。問われているのは、そこでした。
「難しそう」と思っている同世代の方へ。使いこなす必要はありません。まず、やってみる。失敗しながら覚えればいいんです。私も、そうしています。
今日が人生で一番若い日です。ぜひ、今日から一歩踏み出しましょう。


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