【気を遣わない仲間と、蕎麦を食べに山形へ】仙台から車で1時間半、天童「水車生そば」の板そばと鳥中華

山形名物「元祖鳥中華」。そばつゆベースのスープに鶏肉、天かす、海苔、ねぎがのっている 旅・おでかけ

2023年5月のことです。私は仙台駅にいました。集まったのは、元同じ職場だった5人。目的はただひとつ、山形の蕎麦を食べることでした。

先に退職していた先輩、当時その職場を任されていた後輩、もう一人の先輩と、後輩がひとり。そして私——このときは、私もまだ現役でした(定年を迎えるのは、この年の暮れのことです)。年齢も立場もばらばらですが、とにかく気の合う仲間です。車は、後輩が3列シートのミニバンを出してくれました。おかげで5人、誰も窮屈な思いをせずに乗れました。

仙台から48号線で、天童へ

ルートは、仙台から国道48号線を西へ。山を越えて山形県に入り、目指すは天童市です。

この道が、また気持ちいいのです。仙台と山形を結ぶ山越えの道で、新緑の季節でした。運転を任せて、後ろの席から景色を眺める。それだけで、もう楽しい。

目的地は、天童の「水車生そば」

着いたのは、天童温泉にある「水車生そば(すいしゃきそば)」。創業百年を超えるという老舗です。

山形県天童市の老舗そば店「水車生そば」の外観。大きな水車が目印
店名のとおり、入口に大きな水車があります。この日は見事な青空でした。

建物は3階建てで、なかなかの規模です。駐車場は、お店の向かい側に2階建てのものがあります。台数が停められるので、車で行くには安心なお店です。

私たちが着いたのは開店前でしたが、すでに少し列ができていました。さすが人気店です。とはいえ、店内が広いので、すぐに入れました。行列を見ても、あきらめずに並んでみてください。

メニューを見て、迷う時間も楽しい

水車生そばの蕎麦メニュー。将棋ざるそば、元祖板そば、元祖鳥中華などが並ぶ
当時のメニュー。将棋の駒の形をした器で出る「将棋ざるそば」が、いかにも天童らしい。
水車生そばのメニュー(2枚目)。丼物や一品料理なども並ぶ
こちらはもう一枚のメニュー。品数が多いので、じっくり選べます。

将棋の駒の産地として有名な天童ですから、「将棋ざるそば」という名物があります。ほかにも板そば、鴨せいろ、天ざる……。5人でメニューを覗き込みながら、あれこれ言い合う時間が、また楽しいのです。

(※価格は訪問した2023年5月当時のものです。今は変わっているかもしれません。)

板そばと、名物「元祖鳥中華」

私たちが頼んだのは、そばと、この店のもうひとつの名物「元祖鳥中華」です。

水車生そばのざるそば。赤い器に太めの田舎そばが盛られ、薬味とわさびが添えられている
赤い器に盛られた蕎麦。太めで、しっかりコシのある田舎そばです。

そして、こちらが鳥中華

山形名物「元祖鳥中華」。そばつゆベースのスープに鶏肉、天かす、海苔、ねぎがのっている
元祖鳥中華。そば屋のつゆで作った、やさしい中華そばです。

ご存じない方のために説明すると、鳥中華とは、そば屋のつゆで作る中華そばのことです。中華麺に、そばつゆベースのスープ。具は鶏肉、ねぎ、海苔、そして天かす。この天かすが、なんとも言えずいい仕事をします。

ラーメンほど濃くなく、かといって物足りなくもない。そばの後に食べても、するりと入ってしまう不思議な一杯です。もともとは、まかない料理から生まれたと聞きました。山形へ行ったら、ぜひ一度。

大きな器を、みんなで囲む

テーブルに並んだ板そばと鳥中華を、仲間と囲んでいる様子
それぞれが頼んだ蕎麦と鳥中華が、テーブルに並びます。

山形の蕎麦といえば、板そば。細長い木の器に、どんと盛られて出てきます。私たちは取り分けたりせず、それぞれ自分の食べたいものを頼みました。蕎麦の人、鳥中華の人。テーブルに並んだ器を見比べながら、「そっちも旨そうだな」と言い合うのも、また楽しいものです。

そして——

蕎麦を食べ終えたテーブル。空になった器が並んでいる
見事に完食。このときはまだ59歳、よく食べました。

このとおり、きれいに平らげました。よく食べ、よく笑った昼でした。

帰りは、温泉に寄って

おなかがいっぱいになったあとは、温泉に寄って帰りました。

蕎麦を食べて、湯に浸かって、また車に乗って帰る。それだけの一日です。何か特別なことをしたわけではありません。でも、それがいい。

気を遣わない相手と過ごす時間の、ありがたさ

この日いちばん良かったのは、実は蕎麦でも温泉でもありませんでした。

気の合う同年代の仲間だから、まったく気を遣わずに済んだこと——これに尽きます。

先輩も後輩もいますが、この日ばかりは会社の上下は関係ありません。誰かに合わせる必要も、格好をつける必要もない。黙っていても気まずくないし、話し出せば止まらない。この気楽さは、長く一緒に働いた相手だからこそだと思います。

あれから2年。私はその年の暮れに定年を迎え、その後、再雇用も辞めて退職しました。今になって、あの日のことをよく思い出します。会社を離れると、こういう機会は、自然と減っていくものだからです。

だからこそ、誘われたら行く。誘えるなら、こちらから誘う。あの日の蕎麦がおいしかったのは、味だけの話ではなかったのだと、今はそう思います。

まとめ:日帰りで、ちょうどいい

仙台から天童まで、車でおよそ1時間半。蕎麦を食べて、温泉に入って、日帰りで帰ってこられる。60代になった今なら、これくらいがちょうどいい距離だと、なおさら思います。

  • 水車生そば(山形県天童市)……板そば、将棋ざるそば、そして元祖鳥中華
  • 仙台からは国道48号線で山越え。新緑の季節がおすすめ
  • 駐車場が広いので、車で行きやすい

遠くへ行かなくても、旅は成立します。
大事なのは、どこに行くか、何を食べるかではなく——気の合う仲間と、楽しく食べる。ことにつきます。

今日が人生で一番若い日です。ぜひ、今日から一歩踏み出しましょう。

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